ネットワーク機器選びで見落としがちな「PPSとBPS」・パケット処理性能を正しく理解しよう

こんにちは、やまぱんです。

ネットワーク機器やネットワーク製品、仮想アプライアンスをを選ぶとき、「帯域幅」や「ポート数」ばかりに注目していませんか?それも大事ですが、見落としがちな隠れた指標が「PPS(Packets Per Second)」 です。この2つは、ネットワークの安定性や性能を測るうえで非常に重要です。

今回は、このPPSとBPSにフォーカスして、それぞれがネットワーク機器の性能にどう関係しているのか、また選定の際にどのように考慮すべきかを解説します。


PPSとBPSの違いと役割

BPS(Bits Per Second)とは

  • 1秒間に処理できるデータ量を示す単位
  • ネットワーク機器の帯域幅を表す指標
  • 例: 「1Gbps対応」は、理論上1秒間に1ギガビットのデータを処理可能

PPS(Packets Per Second)とは

  • 1秒間に処理できるパケット数を示す単位
  • パケットサイズに依存しない「純粋な処理能力」を表す指標
  • 特に小さいパケットが多い通信では、この性能がボトルネックになることも

PPSとBPSが性能に与える影響

1. トラフィックの性質による影響

  • 大きなパケットが中心の通信ではBPSが重要
  • 小さなパケットが多い通信ではPPSが性能の限界を左右

例:

あるネットワーク装置が1Gbps対応で、PPS性能が500,000PPSの場合:

  • 大きなパケット(1500バイト)
    最大スループット:約940Mbps(ほぼ帯域幅を活用可能)
  • 小さなパケット(64バイト)
    最大スループット:約244Mbps(PPS性能がボトルネック)

2. セキュリティ機能との関係

ファイアウォールやVPN装置では、暗号化やパケットフィルタリングといった処理が増えるため、PPS性能が特に重要になります。BPSのスペックが十分でも、PPS性能が低ければ、実運用では期待するパフォーマンスが得られないことがあります。


3. レイテンシと安定性への影響

PPS性能が不足していると、装置内で処理待ちが発生し、通信の遅延や輻輳(コンジェスション)の原因になります。これはリアルタイム通信(音声通話、動画会議など)で顕著です。


ネットワーク機器選びでのポイント

1. PPS性能とBPS性能を両方確認

メーカーのスペックシートやホワイトペーパーを確認し、PPSとBPSの両方が明記されている製品を選ぶようにしましょう。特に実運用環境で重要なのはPPS性能です。

2. トラフィックの特性を把握

自分のネットワーク環境では、どのようなトラフィックが多いのかを分析しましょう。例えば、IoTデバイスが多い場合は小パケット通信が増えるためPPS性能が重要です。

3. 暗号化やフィルタリングの影響を考慮

VPN装置やファイアウォールなどでは、専用ハードウェア暗号化エンジンを搭載している機器を選ぶことでPPS性能を確保できます。

4. 負荷テストを実施

実際の運用を想定した負荷テストを行い、PPS性能やBPS性能が十分に発揮されるかを確認することが重要です。


PPSとBPSの関係を理解して選定に活かそう

ネットワーク機器の性能を正しく評価するには、BPSとPPSを切り離して考えず、両方をバランスよく理解することが必要です。

  • BPSはデータの帯域幅を示す目安
  • PPSはその装置が実際に処理できる能力

これらを意識せずに選定すると、「スペック上は良さそうだけど、実際は遅い…」という状況に陥る可能性があります。


参考

https://milestone-of-se.nesuke.com/nw-basic/as-nw-engineer/bps-pps/

まとめ:PPSとBPSを意識した選択で快適なネットワークを構築しよう

ネットワーク機器を選ぶ際には、スペックシートに大きく書かれた「BPS」だけに目を奪われず、「PPS」という隠れた指標にも注目しましょう。この2つを正しく理解し、選定に活かすことで、以下のようなメリットが得られます。

  • 高速かつ安定した通信
  • 遅延や輻輳の防止
  • 今後のトラフィック増加への対応力

次回ネットワーク機器を選ぶ際には、「BPSは十分だけど、PPSはどうなんだろう?」と自問してみてください。それが、安定したネットワーク環境を構築するための第一歩です!

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